素朴なロシア人を思い浮かべながら

文化

「ロシアと雑貨 ラブリーを探す55の旅」 井岡美保 WAVE出版

ロシアへ旅をしたことはないのだけれど、スペインへ行く途中で、飛行機の燃料補給のため数時間だけ夜のモスクワ空港に滞在したことがある。

まだ、ロシアではなく、ソビエト社会主義共和国連邦だった頃。空港内は暗く、閑散として、免税店とおぼしきスペースだけに少しだけ物が置いてあった。空港からも灯りは見ず、どこまでも真っ暗だった。

それから10年以上経って、バリ島のウブドの食堂で居合わせた日本人のおじさんと、あれは何がきっかけだったのかロシア人の話になった。たしか、そのおじさんは仕事の関係でロシアに詳しく、文学部出身でロシア文学が好きな友人とロシア談義になったのだと思う。

おじさんは「ロシア人は素朴なひとたちで、過去の戦争は○○○人に騙されていただけなんだよ」というようなことを話していた。政治や経済を動かしているのは本来の意味のロシア人ではないと。
(ネパールでもお金を動かしているのはインドから来たアーリア人で、ネパリは素朴な人たちだと聞いた。チベットもしかり。民族と国家の関係って、なんなんだろう)

おじさんの話は興味深くて、もっと聞きたかったけど、私たちはその数時間後には帰国しなければならず、慌ただしくお礼を言ってその場を後にした。その後もずっとその時の会話が気になっていた。

ロシアとウクライナの戦争が始まって2ヶ月。終わりの見えない情報戦は何が本当なのか、何が嘘なのか。そして、その間もたくさんの一般市民が苦しんでいるし、戦争が終わっても悲しみはなくならないだろう。犠牲者は常に静かに平和に暮らしていた市民だということだけが、真実として伝わってくる。

30 ウクライナ料理
私の好きなロシア料理は「ボルシチ」と「サリャンカ」。どちらもスープなのですが、ロシア料理だと思っていた両方ともが、正式にはウクライナ料理でした。
(中略)
他にもウクライナ料理では、水餃子のような「ヴァレニキ」、ソバの実のおかゆ「カーシャ」などがあります。どれもロシアレストランで食べることができて、メニューに「ウクライナスキー」(「ウクライナの」という意味)と書かれている料理は「おすすめですよ」という意味らしい。

装丁が凝っていて、帯を取るとエンボス加工のカバーが現れる。
このカバーを外すと、また違った驚きが隠れている。

「ロシアと雑貨 ラブリーを探す55の旅」 井岡美保 WAVE出版

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